写真を見つめるその瞳から、いつも浮かんでいる憂いの光が消えたのである。

あたしはあわてて自動販売機を探した。

缶コーヒーを買うためだった。

しかし、あたりに自動販売機はなかった。

それでも必死に辺りを見回すと、50mほど先にパン屋の看板が見えた。

あたしは車から降りるとパン屋へ走った。

パン屋は都会にあるベーカリーのような洒落たものではなく、田舎の食料品店といった趣だった。

店内を見回すと、レジ横に缶コーヒーが積んであった。

あたしはその中から1本つかみとると、レジにいたお婆さんにお金を押し付けるようにして、店を出た。

そしてさらに50mダッシュして車に戻った。

しかし達郎はあたしの差し出した缶コーヒーをポカンとした表情で見つめた。

「いや、まだだ」

「えーッ!?」

フェイントかよ!

推理モードに入ってないなら先にそう言えっての!

「汗かいちゃったわよ、もう!」