「ねぇ、どういう事なの?」

車に乗り込んだあたしは助手席の達郎を問い質した。

「どういう事って?」

「あの夫婦にあんな思わせぶりな質問しといて、すっとぼけるんじゃないわよ」

光子が故郷に戻ることや、鳥海家の庭が、事件になんの関係があるというのか。

捨てられたマネキン人形や襲われた写真屋だってそうだ。

「少しぐらいは手の内を見せなさいよ」

しかし達郎からは、まるで的外れな言葉が返ってきた。

「レミ、写真みせて」

「え?」

「鳥海広義の部屋の写真だよ」

「だったら最初からそう言いなさいよ」

あたしは北島警視から受け取った捜査資料の中から、鳥海広義の部屋の写真を取り出して、達郎に渡した。

「てかアンタ、あたしの質問に答えてないんだけど」

だが達郎は完全無視の状態で写真を眺めている。

ひっぱたいてやろうかしら、コイツ。

かすかに殺意を抱いたあたしだが、それと同時に、達郎に変化が生じたのを感じた。