月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる

「ですが、この事件には不審な点が幾つかありますよね」

そう言って達郎は、昨日の食堂での指摘を繰り返した。

「そうなんです。しかしいくら調べても手掛かりにつながる物が出てこない。正直言って、お手上げ状態です」

北島警視は首を振った。

身内に目を向ければ献身的な態度と完璧なアリバイ。

第三者の可能性に目を向ければ証拠は皆無に等しい。

確かに捜査はやりづらそうだ。

「話は変わりますが」

重苦しい空気の中、達郎が口を開いた。

「マネキン人形について何かわかりましたか?」

「いえ、誰があそこへ投棄したかについては、依然として不明です」

ただ先々週に20体のマネキン人形を捨てたのは、県外の産廃業者だということが分かった。

「むろん今回のマネキンについては関係を否定しています」

「そうですか」

達郎は唇を尖らせた。

「あのマネキンが何か関係あるんですか」

北島警視の問い掛けに対して、達郎は明確な答を出さなかった。