「イヤ―――――!!」

振り向いたわたしに馬乗りになる男。
覆面で顔は隠れている。


手から奪われる携帯。

 「深海!! 深海!!  」

電話の向こう側で先生が叫んでいるような声が聞こえる。


口を塞がれ、叫びことも出来なくて。

〝ピっ〟という小さな音と同時に先生と繋がっていた携帯の電源が切られる。


過去の記憶がいっきに押し寄せる。
叫ぶ事も、暴れる事も怖くてできない。


男は、そんなわたしの耳元で囁いた。

 「瑠璃ちゃん、おとなしくしていてくれよ。」


もう、おわりだと思った。



目をギュッときつく閉じた。



でも、その声には聞き覚えがあって。
でも、認めたくなくて。