高校生の深海聖也から夜の蝶ホステス瑠璃へと切り替わる。

真っ暗な夜は嫌い。

キラキラとネオンが輝く中を、わたしはカツンカツンと足音を響かせて歩く。

赤いルージュにロングのつけまつ毛。
濃くきつくひかれたアイライン。
髪だって盛って、黒いドレスに身を包む。


そこにはもう、深海聖也はいない。



*:*:夜の蝶:*:*



〝瑠璃〟

わたしはそう呼ばれる。

この世界に飛び込んで、日は浅い。

まだ両手で数えられる。

それでも、けっこうご指名なんかもいただいている。

「新人にしては、快挙だ。」って店長が言ってたっけ。


そう今だって、わたしは腕を組んでの同伴出勤。

お相手は、某飲食店のオーナー。

わたしを可愛がってくれるおじ様のひとり。

社長は、わたしが初出勤した時お相手したお客様。
わたしの初めてのお客様。

先輩のヘルプでついた席で、わたしの事を気に行ってくださってそれからはひいきにしてもらってる。

お客を取った取られたのこの世界で、わたしが酷い目に合わないように目を光らせてくれているのも社長さん。