deepdeepdeep 夜の帝王との秘密な関係 ~わたしは生徒で、彼は先生で~

今のように虐待、虐待と騒ぐようなそんな事はなかった。

 「警察、警察を呼べ―!!」

と叫ぶ声も聞こえた。

わたしは、近所のおばさんに支えられ、お父さんの目の前から去ろうとしていた。


 「行かないでくれー。 置いていくな。 お願いだー。聖也。」
お父さんの叫びが耳に届く。

 「行かないで。行かないで。なぁ利恵(としえ)」
次にわたしの耳に届いたのは、わたしの名前ではなかった。


お母さんの名前。

わたしとお父さんを置き去りにこの家を出て行ったお母さんの名前。


わたしは、お父さんを抱きしめていた。

お父さんも苦しかったんだよね。