パトカーに乗せられ、交番につれていかれた。
震えるわたしに優しく話しかけてくれるけど、わたしにはどうしても制服姿のお巡りさんが怖かった。
そのうち、女の人が現れた。
婦警さんだ。
わたしの事をきつく抱きしめてくれた。
優しい、いい香りがしてわたしは婦警さんの背中に腕をまわした。
〝お母さん〟
抱きしめられながら、お母さんってこんな感じなのかなぁと考えていた。
何ひとつしゃべらないわたしの前に小学校の先生が現れた。
身元はすぐにバレタ。
お父さんが怒っている。
わたしにはわかったんだ。
ひたすら、お巡りさんに頭を下げてるお父さん。
それでも、怒りを感じ取れる。
わたしは、お父さんと帰るのが怖かった。
そう、この日からわたしへの虐待が始まった。
外見からは見えないところを蹴られた。
殴られた。
髪だって引っ張られた。
家のはじから、はじまでわたしは引きずられた。
でも、けして顔は殴らない。
女の子だから・・・。
そんな気遣いなんかではなく、ただただ見える所を避けたんだ。
そして、興奮が収まると言うんだ。
「ごめん。ごめんよ。 許してくれ」って。
お酒に酔った情けない姿でわたしにすがる。
「どこにも行かないでくれ」
「ひとりにしないでくれ」
わたしは、お父さんをその度に抱きしめていた。



