deepdeepdeep 夜の帝王との秘密な関係 ~わたしは生徒で、彼は先生で~

そんなある夜だった。

わたしは、いつものように一枚の千円札を握りしめて、闇の中を歩いていた。

後ろから、ヒタヒタと聞こえてくる足音。

わたしが、早歩きするとその音も早くなって。

恐怖で体が震えあがった。

それでも、走らないと走らないとって頭ではわかってるの。
でも、足が上手く前に進まない。

背後から抱きあげられた。

いまだに憶えてる。
気持ち悪くなるくらいの口臭がして、耳に吹きかけられた息を。

わたしは、おもいっきり泣き叫んだ。

幸い、民家から飛び出してきたおじいちゃんに助けられた。

パトカーのサイレン。

制服の警官。

全てが怖かった。


お父さんに怒られる!!
それだけでわたしの頭はいっぱいで、その場を逃げ出してしまいたかった。


わたしは、けしてお巡りさんの前で名前を言わなかった。

言ってはいけないと思った。