わたしは、父と距離を置いた。
周りの子は、
「ウザい時あるよね。」
って言ってたけど、それとは何か違うと思ってた。
そんな夜だった。
酔っぱらって帰ってきた父が女の人を連れて帰って来たのは。
薄い壁、ボロボロで狭い我が家。
さすがに、父の配慮があったのかもしれない。
わたしは、千円札一枚握らされて、家を追い出された。
「2時間ほど帰ってくるな。」
わたしは、暗い闇に放りだされた。
怖くて、不安で、ただただ涙が溢れて仕方なかった。
わたしは、冬空の下、公園の遊具のトンネルの中で身を潜めていた。
今にも、何か出てきそうな闇の中。
わたしは、震えることしかできなかった。



