俺は、開店前の店に顔をだす。

一列の列を作り俺を迎える従業員。

店長が
 
 「お疲れ様です。オーナー。」
と頭を下げる。

それを確認すると、一列に並んでいた従業員達が一斉に頭を下げる。


 「お疲れ様。いつも店を引きたててくれてありがとう。」

俺は、ひとりひとりの顔を確認しながら挨拶をする。

普段、どちらかというとあまり店の方には、顔を出せないでいるから。

出せた時くらいはという思いがあった。

俺は、親父に反発する気持ちもあったんだろうな。
教師という仕事を選んだのには。

親父は、夜の帝王で。

そんな親父を俺はどこかで、見下していたのかもしれない。

そんな俺がオーナーなんだから、笑ってしまう。

教師の現実を叩きつけられた時、親父に言われたんだ。

 「店をやってみないか」と。

迷う俺に親父は言った。

 「生き方は人それぞれだ。何を仕事にしてもそこで働く人たちが真剣に働いていれば、それは素晴らしい事だと。」

俺は、目が覚める想いだった。


 俺は、昼と夜ふたつの顔を持つ事を決めたんだ。