夕暮れ時、学校を後にする。

 「今日は、楽しみにしておいてね。」

今朝、聖也に言われてた。


今日はふたりきりで聖也の卒業を祝おう。
そう思っていた。




正門に近付いた時、俺の目の前に広がった光景。


クラスの生徒達が集まっている。


 「どうしたんだお前達。」

 『今から、先生の卒業式を始めます。』

突然の事で、驚きを隠せない。

 「卒業証書。 工藤幸先生、あなたは教師として立派にやり遂げた事をここに証します。 3年C組一同 」

クラスの代表として、読みあげる聖也。


俺の手に渡される手作りの卒業証書。

抱えきれないほどの花束。


 『先生、ありがとうございました。』

一斉に頭を下げる生徒達。



男として情けないかもしれないけど、流れ落ちる涙を止める事は出来なかった。



教師としての俺の人生は幸せな気持ちで終える事ができた。