桜のつぼみが膨らみだす。
俺の目の前で、卒業証書を受け取る聖也。
このクラスの生徒達が俺が見届ける最後の生徒達。
俺の中でずっとくすぶっていた現実。
教師を辞めて、オーナー業に専念する。
でも、ずっとためらっていたのは過去の出来事に縛られていたからだと思い込んでいた。
でも違った。
俺が勝手に決めた教師像にむりやり生徒たちを当てはめていた。
俺は、自分から生徒たちを排除してきたのだ
聖也を本心から心配した生徒達にそれを気付かされた。
気持ちが楽になった。
教師になりたての初心を思い出した。
教師を聖職と信じ、燃えていたあの頃を。
だから、もう後悔はしない。



