「先生早く起きてください!! 」
「もう少し寝かせろ!! 」
「ムリです。」
毎朝、同じ会話で始まる。
相変わらず、朝が弱い先生。
ふとんにくるまって出てこない。
「もう知りません。」
ふてくされて部屋を出ようとするわたしを無理やりベットに引きずり込む。
「遅刻します。」
「少しぐらい遅れてもいいって。」
教師としてありえない言葉を口にしたくちびるは、そのままわたしのくちびるを奪う。
ほぼ寝ぼけている状態の先生は手に負えない。
「もう!! せっかくヘアースタイルも決まったのに――――!! 」
「どんな髪型でも聖也はかわいいって。」
「そういう意味じゃなくて。」
久々に登校する朝はやっぱり緊張してた。
3学期の始業式。
不安でいっぱいだった。
小さい街の出来事なんて噂話としていっきに伝わる。
わたしのしたこと・・・
考えると震えが止まらなかった。
鏡に映る不安なわたし。
後ろから抱きしめる先生。
鏡越しに真っすぐわたしを見つめる先生がいる。
ぶつかる視線。
先生の指がメガネを外して、きつく編んだ三つ編みをほどいていく。
「もっと、ありのままでいいんじゃないか。」
優等生の聖也が消えた瞬間だった。
その日から、わたしは変わった。
三つ編みもメガネもいらない。
久々の登校で変わり果てたわたしをクラスメートが遠目で見てても気にしない。
先生が認めてくれたから。
ありのままのわたしを・・・。



