放課後、家庭訪問って形で君の家を尋ねたんだ。

でも、何度チャイムを鳴らしても誰もでてこなかった。

そのかわりに、親切、いやお節介なとなりの住人がペラペラとしゃべってくれたよ。

 「お隣さんなら、女の人と蒸発しましたよ。」

 「蒸発ですか?」

 「ええ。」

 「娘さんは?女の子がいたと思うんですが。」

 「聖也ちゃんね。」

 「ハイ。」

 「あなたは?」

 「わたしは、深海の担任です。」

となりの住人は、行き先はわからないと言った。

「あの子もかわいそうな子だね。
母親も父親も自分を捨てて消えてしまうなんて。」

そう、語ってくれたんだ。