お父さんは、頑固に供述を変えなかった。

 「わたしがお父さんを殴りました。」
って証言しても、殴られたはずのお父さんがそれを認めない。


 「自分でぶつけた。」


それが、最後に見せたお父さんの優しさ。




わたしは、病院のベットの上で自分の生きてきた人生を振り返ってみる。


寂しさと悔しさ。
みじめさと挫折。

わたしの人生に喜びに満ちた幸せな時間はほんの一握りだったのかもしれない。




わたしは、この病院を退院したらどこにいけばいい?


もう、先生のところにも戻れない。

人を傷つけたこの手で、先生の元には戻れない。