「行ってくるね。おりこうさんにしててね。」

寂しそうな丸い目が、わたしを引きとめる。

 「ワンコ~。 そんな悲しい顔したら学校行けないよ~。」


 「深海、遅刻するぞ!! 」

 「だって~。」

先生にせかされて部屋を出る。

 「学校終わったら、急いで帰るからね。 」

 
 「キャインっ。」

寂しそうな鳴き声がひとつ聞こえてくる。


遅刻ギリギリの時間。
振りかえらずに、駅目指して走り出す。