車は都内を抜け、千葉のとあるインターチェンジから一般道に降りる。
東京ほどではないにしても、行楽日和の今日は少しだけ道が混んでいた。
なかなか進まない車の中、僕らはいろんな話をした。
他愛もないことをいとおしそうに話す彼女の横顔は、いつもよりさらに幼く見えた。
「バイト先の中華料理屋の店長がね、実は和食党なの」
「こないだお隣の娘さんが、男の子とデートしてるの見ちゃった」
彼女のおしゃべりは止まらない。
それから、さっきの友達ふたりは別のクラスだけど、
美術部で親しくなったのだということも嬉しそうに話してくれた。
「桜子、美術部なんて入ってたんだ」
「そうよ。お父さんが入院してからは、ほとんど出席できなかったけどね」
コンクールで入賞したこともあるんだから、と桜子は得意気に言った。
「へえー。そりゃすごい」
「私にこんな才能があるなんて知らなかったでしょ」
「うん、知らなかった」
そういえば、
桜子が友人から“サク”と呼ばれていることも、ついさっき知った。
僕らはまだまだ、お互いに知らないことだらけだ。
東京ほどではないにしても、行楽日和の今日は少しだけ道が混んでいた。
なかなか進まない車の中、僕らはいろんな話をした。
他愛もないことをいとおしそうに話す彼女の横顔は、いつもよりさらに幼く見えた。
「バイト先の中華料理屋の店長がね、実は和食党なの」
「こないだお隣の娘さんが、男の子とデートしてるの見ちゃった」
彼女のおしゃべりは止まらない。
それから、さっきの友達ふたりは別のクラスだけど、
美術部で親しくなったのだということも嬉しそうに話してくれた。
「桜子、美術部なんて入ってたんだ」
「そうよ。お父さんが入院してからは、ほとんど出席できなかったけどね」
コンクールで入賞したこともあるんだから、と桜子は得意気に言った。
「へえー。そりゃすごい」
「私にこんな才能があるなんて知らなかったでしょ」
「うん、知らなかった」
そういえば、
桜子が友人から“サク”と呼ばれていることも、ついさっき知った。
僕らはまだまだ、お互いに知らないことだらけだ。



