レンタカーの助手席に桜子を乗せて、高速道路をひた走る。

窓から吹き込む風はまだ少し冷たかった。


「拓人ってさ、目立つよね」

「そう?」

「長身のせいかな。あんな混雑した校庭でも、すぐに見つけられたよ」

「それを言うなら桜子だって、すごく目立ってたよ」


僕は前を走るトラックのナンバープレートを見つめながら言った。


「君は、他の女の子と違って特別きれいだから」

「ほんとに?!」

嬉しそうに声をあげる桜子。

「ま、中身は性悪だけどね」

ぶぅっと頬をふくらます顔が、視界のはしに映った。


「はははっ、拗ねた?」

「別に。それより、ちゃんと前見て運転してよ!」

「はいはい」