「けどさ」
とサチコが言った。
「変な下心じゃなくて、本気の恋に発展する可能性もあるよね?」
「えっ?!」
誰よりも大きな声で反応したのは、僕だった。
「あ……」
僕は先ほどの桜子にも負けないくらい顔を赤くして、黙り込む。
自分でもビックリするくらいに反応してしまったことが、何より恥ずかしい。
桜子は肩をすくめ、ノゾミは気まずそうに苦笑いし、言い出しっぺのサチコまで黙り込んでしまった。
本気の恋に発展?
僕と、桜子が?
まさか。
突拍子もない、考えたことすらないその発言に、僕は心底おどろいた。
なるほど、言われてみればたしかに、そういうこともあるのかもしれない。
いくら兄妹とはいえ、血のつながりも法的なつながりもない男と女なのだから、
別に不思議じゃない。



