「だ、大丈夫ですか?」

「……う、うん。大丈夫、です」


ひきつった笑顔で僕は応える。

桜子がクスクスと、おかしそうに笑っている。


「はじめまして、友人のサチコです。
……って、あれ?」

「サク、兄弟なんかいたっけ?」


もうひとりのノゾミが、サチコと同じ不思議そうな顔をして訊く。


桜子は飄々とした様子で、

「うん、いたよ」

「こらあ!適当なこと言うな」

「あはははっ。ごめんごめん、お兄ちゃん」


まったく。


桜子は友人ふたりの顔を交互に見ながら、簡単にこれまでの経緯を説明した。


「……というわけで、私たちは血のつながらない兄妹だけど、いっしょに暮らしてるってわけ」


「はあ……」


ふたりはいまいち理解しきれていない、といった顔だ。


たしかに僕らの関係は風変わりだから、しょうがないけれど。


「なあんだ。彼氏じゃなかったんだ」


オーバーな口調で、つまらなさそうにノゾミが言った。


「残念ながら私と拓人の間には、けっして変な下心は抱かないっていう約束がありますから」


桜子もオーバーにかしこまった口調で応える。