式が終わったあとの校庭は、まさに人であふれていた。


僕はキョロキョロとあたりを見回して、桜子の姿を探す。


「あっ」


控えめな黒髪の生徒たちの中で、
日光を浴びて輝く薄茶色のロングヘアーがひとり。

すぐに見つけられた。


同時に彼女も僕のほうに気づき、顔をほころばせながら走り寄ってくる。

首元にはやはり、クリーニングのタグがちらり。


「お待たせーっ」

「桜子。制服になんかついてるよ?」

「え?……あーっ!」


桜子は手探りでタグの感触を確かめると、顔を赤くして叫んだ。


「やだあ。式の間中ずっとこんな姿だったの?」

「うん」


桜子は一瞬絶句して、それから「信じられない!」といった表情で頭をブンブン振った。


「もおーっ!最悪。早く言ってよお」

「俺も式のときに気づいたんだから無理だって」

「拓人のバカあ!」

「いやいや、俺じゃなくて、指摘してくれなかった薄情な友達に怒るべきだろ」

「……あのお」

「ん?」


おどおどした声が背後から聞こえ、僕は振り返った。


桜子と同じ制服を着て、卒業証書を小脇に抱えた女の子がふたり。