拍手がわき起こった。

逆光の中でもわかるほど、彼らの顔は希望で輝いている。


永遠に続くかのような祝福の音の中、

卒業生たちが列を乱すことなく、中央の席へと向かって歩き始めた。


次々に入場口からあらわれる、18歳の希望に満ちた顔。


きりりと前を見つめる顔も、

恥ずかしそうにはにかむ顔も、

みんながどこか誇らしげだ。



ほんの2年前に僕もこうして、母校の花道を歩いたのだ。

それがやけに遠い記憶のように感じる。


あの日、母は来なかった。


すでに病に臥せっていた母は、入院先のベッドで何を思ったのだろう。


僕の卒業からちょうど一年後に、彼女は息をひきとった。

せめて成人式くらい、見せてあげたかった。



「――続いて、C組の入場です」


そのアナウンスを聞いて、僕はハッと我に返った。


見覚えのある華奢なシルエットが、入場口にあらわれる。


桜子だ!


僕はいっそう大きく両手を打ち鳴らした。