きれいに整備された駐車場のはしに車を止め、

降りると僕は、両手を空に向けて伸ばした。


渋滞のせいでしばらく窮屈を強いられていた僕の体は、突然の自由に驚いたように、全身にいっきに血をめぐらせた。


「んんーっ……」


背骨がポキッと小気味いい音をたてる。


「……いい天気だ」


僕の真上には、カッと照りつける傍若無人な太陽があった。


駐車場の警備員はうたた寝し、パイプ椅子の上で揺れていた。


のん気なものだなあ、と僕は鼻で笑い、

そしてその先の建物を見る。



白いタイル張りの、清潔そうな病院。



あの中のどこかの部屋に、父が横たわっているなんて――。



突然襲う、胃の中をかきまぜられるような不快感。


僕の足は唐突にすくみ、駐車場の真ん中で動かなくなる。