仕事から帰ったら話し合おう、 という約束はどうやら無効だったらしい。 僕が玄関を開けたとき、 そこにはもう、桜子の姿はなかった。 気配も置き手紙すらもなく、 ただ、 手作りの料理がテーブルの上にぽつんと置かれていた。 鳥の唐揚げと茄子田楽 ――僕の、大好物だった。