疲れていた。

すごく、すごく。


夕方までねばって、少しあきらめかけた頃、

街にネオンが灯り始めた。


夜の繁華街なんか
どの都市でもだいたい同じだ。


すべてがぼやけて、

すべてが目くらましで。




店に電話を入れた。

とったのはマユミだった。


『店長?!』


声の調子がどこかおかしい。


「マユミ?店はどう?」

『あ……なんとか営業できてるよ』

「そっか、よかった。僕の方はまだ――」

『あのね店長』


はりつめたその声に、言葉を遮られた。


『店長……あの親戚の女の子に、今回のこと何か話した?』

「桜子?……いや、何も」


『……そう。じゃあ、どうしてなんだろう……』


「え――?」