生徒が教師に恋心を抱く、なんてことは今時珍しい話でもなくなりつつある。
俺が仲良くしてる先生も生徒から告白されたことがあるくらいだ。
そして俺も、1度経験していた。
それは奏の親友の子からの告白だった。
ある日。
「ね、先生。
今日授業後、勉強教えてよ」
珍しく、奏から俺に話しかけてくれて。
それが嬉しくて。
しかも勉強教えてくれ、ときた。
「おう!任せとけ!」
もちろん、喜んで受けた。
「じゃあ授業後、図書室ね」
「分かった」
そうして迎えた授業後。
図書室に行くとそこで待っていたのは奏ではなかった。
「あれ?奏は?」
「いないよ」
なんだよ、アイツ。
自分から誘ったくせに。
そう思っていた俺へ
「よーたくん。
私…よーたくんが好きなの」
奏の親友は俺にそう言ったのだ。
そこでやっと分かった。
奏はこの子のために俺を誘ったのだ。
そして、今思うことがある。
もし奏が、さっき言った
『先生…好きでした』
という言葉が本当なら。
アイツは、あのとき、どんな気持ちだったんだろう。


