「ここでしたか」

 ラムルダが彼らを捜してあらわれたとき、彼はその場を支配する異様な雰囲気に気がついた。

「どうかしましたか」

 兄妹の間でぎごちなく交わされる無言の視線に気づいて、カリナが取りつくろう。

「なんでもないよ、ラムルダ。それより結果はどう出たの?」

 ラムルダは複雑な表情で告げた。

「いいのか悪いのかわからない。結界にほころび目があった」

「まさか、とは思っていたけど……」

「自分で確認してみたらいい、カリナ」

 言われて、彼女は両手を胸の前で握りあわせると、目を閉じた。
 極度に集中しているのが、うかがえる。

 ロランツとシャリアは固唾をのんで見守るばかりである。
 やがて、見開かれた茶色の瞳には、驚きの色が浮かんでいた。

「どうして今まで気がつかなかったんだ。こんな盛大にほころんでいて。これなら、吸魔樹どころかドラゴンが這いだしてきても当然だよ」