Hello,Nightmare!!


彼女は寂しがり屋で、人が大好きだから。
唯一頼れるはずの「大人」を嫌いになってしまった。
しかし彼女は、クラスメートに嫌われている。
ならば。



「健くんは、怖くないの?」
精神世界から帰り、彼女の問いに答える。
一体何のことをさしているのかわからなかった。
でも、不思議とどこにも恐怖心がなかったため、うん、とだけ返す。
きっと、夢なのだから大丈夫だろう。

真琴が、目を細めて笑った。
僕はあることに気付き、彼女の肩に触れた。

「そういえば、どこに向かうの?」
「あれ。言ってなかったっけ」
「言ってねーよ、アホ」
「ひどっ!」

風が冷たくて、無意識に震えてしまう。
十月の夜は、思ったよりも寒い。

真琴は、こちらに見向きもせず言った。
「会場よ」
何の。そう再び問うと、真琴がわざとらしいジェスチャーで答える。

「わかんない? パーティーよ。ハロウィンパーティー」
「………………あー」

夢の中では、そんな設定が組まれているのか。すごいぞ僕の頭脳。
自画自賛している内に、箒は急降下を始めようとしていた。

「舌噛むから、黙っててね」
その忠告に従い、口を閉じた。
さん、にい、いち。
ゼロのカウントと同時に、急降下。

強い風により、目を閉じる。息なんかできない。
五秒ほどして、急降下は突然止まった。