授業参観中。とある子供の母親が悲鳴をあげた。
その原因は、真琴。
パニックに陥る母親は、壊れた機械のように何度もぶつぶつと呟いていたそうだ。
悪魔、悪魔がいる。
あの子のところに。
その、あの子というのが真琴だった。
そして様々な霊能者のお世話になった彼女は、いつしか僕に手紙を書いた。
それは小学生とは思えない字。
[彼奴は悪魔なんかじゃない。健人ならわかってくれるよね。悪魔なんか、いないのに。]
そして、どんな霊能者にも無理だと判断された秋。
彼女は大人嫌いになっていた。
その母親は勿論、先生そして自分の肉親までも。
嫌悪の対象となった。
それが、僕が唯一覚えている小学生の時の記憶だ。
この事件は、後々多大な影響を残した。
周りから異質なものでも見るような目で見られる。
大人だけじゃなく、同級生までも近寄らない。
そして、教師に対しての態度。
彼女はいつも、教師に触れないように努力していた。
殺菌スプレーなんてものを持ち歩くまでに。
それがまた、彼女が嫌われ者になる原因となるわけで。
ただ、僕はそんな彼女を嫌いになることができなかった。
何故か。
彼女のことを、他の人よりは知っているからだ。

