「どういう意味?」


蒼依が潤ませた目を隼人に向けて尋ねた。隼人は相変わらず目を合わせようとせず、真っすぐ一点を睨みながら言葉を続ける。


「俺は『みんな仲良く元の世界に帰ろう』なんて甘い考えは持ち合わせてねぇからな。邪魔する奴は容赦なく殺す」


「ちょっと待ってよ……クラスメイトを殺す気!?」


「向こうはクラスメイトだなんて思ってねぇよ。あいつの目に映る俺は、単なる反逆者だ。だったら手加減する必要もない。……それが嫌なら今すぐ俺の前から消えろ」


互いに睨み合う隼人と蒼依の間に幸弘が慌てて割って入り、二人の言い合いを止めた。


「やめぇや。あんたら、そんなに仲悪いんか」


はぁ…とため息をつきながら呟く幸弘に次いで、大地が二人に笑顔を向けながら話した。


「イライラするのは疲れてるからだよ。二人共、少し休んできたら?もう日も落ちてきたし、行動始めるのは明日にしよ」


大地の言葉で二人はようやく睨み合うのをやめ、それぞれが席を立った。


その時、部屋に向かおうと歩き出した蒼依達に向かって幸弘が声を張り上げた。


「そうや!蒼依、隼人、ちょっとストップ。俺に武器見せてみぃ」


「何故だ?」


怪訝な顔を幸弘に向ける隼人を見て、幸弘が呆れ顔でため息を吐いた。


「もー……ほんまうたぐり深い奴やな。何も悪い事しぃひんて。ほれ、見せぇや」


そう言うや否や、幸弘が蒼依のポケットから拳銃を引っこ抜いた。そして拳銃を観察するようにまじまじと見つめ、独り言のように呟く。


「ニューナンブM60か……。よっしゃ!これ、俺が威力二割増しにしたるわ。改造なら任せぃ!」


得意げに笑う幸弘に戸惑いを見せた蒼依だったが、幸弘を信用することに決め、頷いて見せた。


隼人は拳銃を預けることを確実に渋っていたが……幸弘の説得の末、ようやく携えていた二丁の拳銃を幸弘に渡し、さっさと部屋を出て行った。