「おはよう」


蒼依がそう言いながらリビングに入ってきた時には他の三人は既に集合し、朝ご飯まで平らげていた。何やら議論をしていたようで、テーブルに地図を広げて三人で囲んでいる。


「何が『おはよう』だ。全然早くねぇんだよ」


隼人が壁にかかっている時計を指差しながら顔をしかめた。その時計は朝の九時が過ぎていることを示している。


「仕方ないって。蒼依は人一倍朝に弱いんだから」


フォローする恭の横に蒼依が座り込み、寝ぼけた目で光璃に笑いかけた。


「光璃ちゃんも、おはよう」


「お……おはようございます」


蒼依の挨拶に、俯いていた光璃が驚いたように顔を上げて挨拶を返した。


なぜか光璃の態度に違和感を感じた。そわそわと落ち着かない様子で、しきりに恭を見つめているのだ。


そんな光璃の様子に首を傾げている蒼依の隣で、恭が話を再開した。


「……で、さっきの話に戻るけど。管理局を探すったって広すぎねぇ?県一個分の面積あるんだぞ?電車も動いてないみたいだし、探し出すのに何年かかるかわからねぇよ」


恭が机の上に広げられている地図を見下ろし、ため息をついた。


広げられているのは昨日学校から持ち帰って来た数枚の地図の内の一枚だ。そこには県内の地理が大まかに書かれており、山々に囲まれた五つの都市が記されている。


その地図を眺めて考えを巡らせていた隼人が静かに口を開いた。


「いや、管理局があるのは多分この市内だろうな」


「え、なんで?」


驚いたように尋ねる恭に、隼人が視線を地図から離しながら説明を始める。


「管理局には運営する人間が必要だろ?ってことは、生活が出来る場所じゃないといけない。そう考えると田舎や山奥は不便だ。つまり、街中にいる必要がある」


「あー、確かに。……あれ?『運営する人間』ってことは、この世界には大人もいるのか?」


恭が思い付いたように問いかけたが、隼人は首を横に捻った。


「さぁな。断定は出来ないけど……人がいなきゃ、Separate Worldの管理なんて出来ないだろ」