扉が開くと同時に目に突き刺さる、複数の強い光。

「えっ何?!」
西刑事が目を凝らすと、エレベーターの周囲に数十名の人々が群がっているのが見えた。
手にカメラや照明機材、マイクを持っている。
二宮の到着に殺気立ち、外に出てくる二宮に我先にと押し寄せマイクを向けた。

「殺害された一島社長の秘書、二宮惠一さんですね?」

「捜査の進展状況はどうなってるんでしょう?」

「直前に一島社長と、口論していたという報道がありますが、本当ですか?」

二宮に矢継ぎ早に質問を浴びせ、容赦なくストロボの光が焚かれる。

大会社の現役社長が殺害されただけに、この事件は世間でも大きな注目を集め、連日のように報道がなされていた。
今撮っている映像も、今日か明日のワイドショーで何度も流されるのだろう。

二宮はノーコメントを貫く。
押し寄せる報道陣を押しのけながら前へ進み、黒光りするセンチュリーに乗り込んだ。