「明らかに、他と違うことを喋ってる奴が約1名いるな」

書いてきたメモをもとにパソコンで供述調書を作成している西の脇で、原田刑事がそれをチェックしている。

「おい、俺の名前が『腹だけ維持』に変換されてるぞ」

「あ、すんません。実際は『腹も維持できてない』のにね!」
ちらりと原田刑事の腹部を見る西刑事を、原田刑事がじろりと睨む。

「話をもとに戻すが、明らかに嘘をついてる奴がいるな」

「えぇ。自称秘書課職員、二宮惠一」

「よし。明日から、あいつを重点的にマークだ」

「え~。あの人、犯人ですかね?違うような気がする」

「なぜそう思う?」

西刑事は臆することなく、
「わたし、あの人メチャタイプなんで!」
と答えた。
若さって、素晴らしい。

「自分の好みで犯人決める刑事がどこにおる、アホ!」
原田刑事特製、ゲンコツ鉄槌が西刑事の頭に下された。

「明日から、あの秘書ロボット野郎を徹底的にマークするぞ」




(2.嘘をついたのは誰 終)