「ねぇ」

寝そべったまま、ルドルフに話しかける。

「あんた魔法使いなんでしょ?この状況何とかならないの?」

「無理だな」

視線すら交錯させないまま。

ルドルフは即答だった。

「俺とて多少は時空転移の心得はある。妹を探して、数多の世界を旅してきたのだからな」

私の住む旧世界。

ルドルフの住む新世界。

呪眼の魔女と呼ばれる人外の住む世界。

機動装甲なる二足歩行兵器の存在する未来世界。

英雄達のいる彼の地。

千年真祖(サウザンド・デイライトウォーカー)という吸血鬼の支配する世界。

私が知らないだけで、様々な世界が並列して、この世の中は構築されているという。

「それらを旅してきた俺でさえ、今いるこの世界の存在は知らなかった。時空座標さえわからん。この世界がどこに位置するのか、どうやって旧世界や新世界に戻ればいいのかさえわからん。お手上げと言う奴だ」