時折吹く風が心地良いのか、窓の方を向いている。 俺が籍を入れたのも、ちょうど今の透子と同じ年の時。 少し不健康そうに白くて黒目がちな瞳と手足の細い彼女に子供が出来たのも。 まだ学生だったから、彼女は堕ろすと言っていたけど。 宿った命を殺して良いはずはない。 そう言って俺等は沢山の反対を押し切りながらも結婚した。 俺にも彼女にも透子にも限界が来て、誰かが壊れてしまう前に終わりにした。 元々素行がよくなかった彼女は資産家の親から勘当されていてさ迷うことになってしまうが。