その日の放課後、俺は一人で帰り支度をしていた。

坂野と中森とは元々方向が違うから、いつも舞瀬と二人で帰る。
だが、今日は舞瀬が所属している評議委員の仕事が大量にあるらしく、先に帰ってくれと言われた。

「よし…!
帰るか……ん?」

荷物を持って教室を出ようとした時だった。
舞瀬の席が視界に入り、そこに何かがあるのが見えた。
よく見るとそれは舞瀬の携帯だった。

しかし机の横に荷物は無く、舞瀬が忘れたということが推測出来た。
俺は携帯を手に教室を出た。