その男が あたしの視線に気付いた。 一瞬、目が合った。 (ヤバい!) あたしはとっさに 目を逸らした。 あたしと男の距離は 数メートル程。 男の足音が、 少しずつ近づいてくるのを あたしは うつむきながら感じていた。 「今、見てたよね?」 頭上から声がする。 あたしは少しずつ、 顔を上げる。 そこには…あの男。 (見なきゃ良かった、) あたしは少し後悔していた。