「ん?」 「高校の競歩大会、ここが折り返し地点だったでしょ?」 「ああ、そうだったなー」 ここで待機してた先生が、生徒1人1人の声を掛けてくれてた。 もちろんあたしにも。 先生の『頑張れ』で、あたしもまた歩き出せたんだっけ。 あの日のこと、今もこんなにハッキリ思い出せるー。 「先生。あたし、少しは大人になったよ?」 あたしはそう言って、視線を夜景から先生に移す。 「まだ早いかな…?」