そして時間は過ぎて、電車は私と理子が決めた通りになった。


理子と夏輝が話し始める。

全然内容がわからない。

取り残されてしまったみたい。


私はひとり外を見た。


悲しい顔をしていたのかもしれない。


そして、3分くらい乗ったときに夏輝が私に話しかけた。


「見て、これ。CMでやってたガム」


CM?

あーあのCMのヤツね。

私は心が歪んでいた。


「理子、食べてみる?」

やっぱり最初は理子なんだ。

心の中で思ってしまった。


私って性格悪いなぁ、と思って途中でやめた。


「ウチ無理だよ。歯が」


理子はそう言って、歯を見せた。

歯並びが悪い理子は、歯に固定してるヤツをつけていた。


私は、そんなのに縁はないから全く知らないけど。


「そっかぁ。じゃあ、菜乃香食べる?」



“じゃあ” ってなんだよ。


って一瞬思った。


私って心狭いな・・・って思ってしまった。



「いいの!? ありがとー」


物凄く嬉しそうな顔をしていった。


「いえいえ」

と夏輝は少し笑みを見せた。


私は、素直にその笑顔が嬉しかった。