息を切らして走り、階段を駆け上がってやってきた図書室に、お目当ての先生がやっぱりいた。

先生は椅子に腰掛け少し分厚い本を読んでいた。あんな分厚い本、私は絶対に読まないと思う。

司書さんは用事でどこかに行っているらしく、カウンターには誰もいない。

そして図書室を利用している人もまばら。

人気の少ない所に行けばまだ誰かに見られる心配はない……かな? よしっ。

静かに図書室に入って行き、そーっと先生の横に腰掛けて、じっと先生の横顔を見つめた。

本に集中しているせいか誰かが自分の隣に腰掛けたのは分かっても、

その腰掛けた人が私であることやジッと見詰められている事にまでは気付いていないと思う。