入村さん、負けた事しか頭にないみたいだから私の事なんて二の次だよね。きっと。


「はい、あがってー」


長い沈黙も部屋に辿り着いた事によってやぶられた。

部屋に上がるなり入村さんがベッドに腰掛けたから私も隣に腰掛ける。

寮に私達以外戻っていない訳なんてないのに、やたらと周りが怖い位に静かに感じた。


「慰めなんていらないから」


最初に部屋に響いたのは入村さんのこの言葉。

多分私が入村さんの立場だったら同じ事を言っていると思う。

でも私は入村さんを慰めたくて彼女をここに呼んだ訳じゃないんだ。

私が言いたいのはもっと別の事。

周りの目が気になってあの場ですぐに言えなかった事だ。