高蔵のいる前では嫌な顔をしなかった男子生徒たちもたちまち顔色を変えた。

「何だよ。男子だけで掃除かよ」

 古田は言った。高蔵に不満はあるのが、直接面と向かって言えないのだ。

「グチを言ってもしょうがない掃除をはじめよう」

 子吉沢は言った。

 学級委員の小森は指示を出せないで困っていたが、他の男子生徒たちが自然にほうきを持つ者と、机をぞうきんで拭く者とが別れた。春休みの期間があった分ホコリがたまっていたようだが、掃除はすぐに終わった。