子吉沢はみんなが囲んでいるので、前に進めない。近づけないのだ。

 アリスは目を真っ赤にして、みんなに手を振っている。

 ドアは閉められた。女子生徒は大泣きをしている。

「好きだよ。アリス……」

 子吉沢はつぶやくように言った。たぶん誰にも聞こえていなかったはずだ。

 アリスの乗った車は走り出した。