仕舞いには高蔵も疲れ、防御もあまくなり、子吉沢のパンチが顔面に入るようになった。

「やめて~」

 高蔵の鼻から血が出てきてのを見て女子生徒の一人が叫んだのだ。

 すでに高蔵の目には涙が流れていた。

 子吉沢の勝ちである。

 高蔵が泣いた。生徒たちは番長の敗北に驚き、声すら出なかったのである。

 パトカーのサイレンの音が近くで止まった。

「もう警察がきたのかよ。誰だよ、二人の喧嘩におまわりを呼んだのは」

 馬屋が生徒たちに問うが答える者はいなかった。

 生徒たちは窓の外に注目した。パトカーが二台止まっていた。