「泣き虫!」

 馬屋が言った。

「もう、その辺で言うのはやめろ! かわいそうじゃないか」

 今まで黙っていた子吉沢が言った。

「何だよ、お前!」

 馬屋は意気込んでいた。今に乱闘になりそうなくらい馬屋と子吉沢の間に火花を散らしていた。

「馬屋やめろ」

 高蔵が止めに入った。意気ごんでいたが馬屋は黙った。

「今日は笈滝君をいじめるのではなくて、本をさがすんだろう?」

 子吉沢は高蔵に向かって言った。