「事件だ!」

 高蔵は馬屋を押しのけて、顔を木村に突き出した。

「事件?」

 木村は取りあえず声を上げた感じだ。

「教室内にあった本がなくなった。だから犯人さがしをしている」

「ほう、さすが高蔵さんだ。で、何かわかったの?」

 木村も高蔵に取り繕うと必死だ。

「まだ捜査中だ!」

「犯人捕まるといいですね」

「ああ。で、木村お前はどうだ?」

「どうって?」

「本を盗んだか?」