「本はどうした?」

 高蔵は探偵よろしく詰め寄った。

「……」

 桃香は黙ったままだった。

「黙っているとこがあやしいな」

「……」

 急に家に訪ねてきて、詰問されても理解できるはずがないのだ。

「本を持っているなら、出せ!」

「持っていません……」

 桃香はやっと理解した。

「そうか……」

 高蔵はあっさりと納得したようにうなずいた。