「じゃあ、リーダー、事件のおさらいだな」

 子吉沢は高蔵が探偵団のリーダーには不満のようだ。高基教諭には子吉沢が指名されたのに、わけのわからないやつらが三人もいるからだ。

「そうだな。本の持ち主は理々で借りたのは渋革だ。みんなが音楽室に行っている間に本がなくなった……」

 高蔵は子吉沢の不満を無視し、探偵よろしく考えこんでいる。

「音楽室に行っていることを知っているやつが犯人なんですよ」

 すかさず、馬屋が言った。

「知っているやつね……」

 高蔵は目を細めて馬屋を見つめた。

「あっ、待てよ! もしかして、渋革さんが自作自演ってことはないですかね。リーダー?」