大翔は静かに席を立ち教室を出ていった。


「大翔!」


俺は、大翔の後を追った。

「…んだよ」
「あのさ…今度…見せて」
「誰を?」


大翔は俺の顔を見た。


「…婚約者?次期に、俺だって運転手になんだよ。知りたいの!」


笑顔で誤魔化して見ると大翔は冷たい目で見てきた。


「良いよ、但し…」
「但し?」
「子供だから可愛いだの大人になったら分からねぇだの言うんじゃねぇ。」


そう言い残すと歩き始めた大翔。


昔の大翔は無口で喋らなかった。
なのに、婚約者である美桜様の話をする時だけ幸せそうに話すんだ。