予鈴のチャイムの音に、わたしは慌てて階段を駆け降りた。



教室に入るなり、美月が駆け寄ってきた。

「ちょっとゆきっ!
朝のアレ何だったの?」

へ?アレって?
もしかして…見られたりとかはして、ない…よね?



「矢野千秋と知り合いなの?」

やっぱり…そのことか。



「ん~知り合い…なの、かな?」

ふと会長の顔が浮かぶ。
…やだ、なんかまた顔熱い。



「なんでそこ疑問形なのよ~。」

「知らなぁい。」

適当にあしらって、わたしは席についた。



「なぁんか怪しい。
ゆき…何かあたしに隠してることあるでしょ?」

そう言って美月は、前の席に座ると、わたしの顔を覗き込んできた。


「べ、別に…アイツとなんか…何にもないよ。」

わたしは、かばんを机の脇にかけながら言った。